ブログ 岡本浩和の「人間力」発見日記

何でも素直に対応できる心

真の利他を学ぶのが人生なのだと思いました。
しかしながら、この身体がある以上、
いわゆる煩悩というのは四六時中出てくるわけで、
行動などはある程度抑制できても、意識までは
止めることは実に難しいものだと痛感します。

授業後の学生の質問や依頼に対応していても
つい帰りのバスの出発時刻に間に合うのかどうか気になったり(苦笑)、
実につまらない、些細なことが気になってしまっている
自分の愚かさを思うのです。

山路を登りながら、こう考えた。
 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
 住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。
 人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
 越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。

(夏目漱石「草枕」)

漱石はうまいことを言いました。

そういえば孔子は人の心を豊かにするものとしての芸術の、
中でも音楽の重要性を説いています。
僕は「聴くだけ」の人で奏することができないのが残念でなりません。

その昔、未就学児童の時に、父はピアノを習わせようとしたらしく、
近くに住むピアノの先生にお尋ねに行ったらば、
男の子がピアノなんて習わなくて良いという回答で、諦め引き返したそうです。
それもつい数年前に聞いた話で、
「えーー、無理やりにでもさせてほしかったわー」とそのときは声を上げましたよ(笑)。

今では当たり前の楽器などの習い事も
その昔は、特に田舎ではそんな状況だったことに
常識の変化をあらためて思います。

世の中はものすごいスピードで変わっています。
僕たちの意識も余計なとらわれをなくし、
何でも素直に対応できるようにならないと取り残されます。
意識すら仮のもの。

今日は敬愛するベートーヴェンの252回目の誕生日。
ありがとうございます。


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